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北野は不眠不休で頑張った。
でも付き合う人はスウェーデン人が多い。
慣れない英語と拙いスウェーデン語では相手にしてもらえないことが多かった。
日本語が恋しい、家に帰れば家族と日本語で会話するものの。
翌日からリセットさせて、日々の仕事に全力に取り組み頑張る。
あるとき、子供たちを連れてその地区の図書館にいったとき、外国語の絵本が置いてあり、
絵本の笠地蔵が置いてあった。おそらく前にこの地域に住んでいた日本人が寄付したのであろう。
日本語を渇望していた北野は子供たちに読み聞かせする前に自分が読み感涙した。
子供たちは少し不安になって、「パパどうして泣いているの」
「お腹が痛いの」と娘は心配してくれた。
それらの優しい言葉を我がら投げかけられると、北野はますます涙が止まらなくなった。
北野は幼少期を思い出していた。住んでいた山間部の街に抜ける道沿いにお地蔵さんが五体おいてあり、赤い毛糸の帽子や前垂れをきたり、冬は雪をさけるため笠を被り、蓑を肩や背なかにかけていた。
北野の住む地域は積雪量が多い、人ひとり分ようやく通れる道を村の青年団員のお兄さん達が雪が降ると、良く除雪をして道を何とか作っていた。家に帰り、妻に今日のことを話して少しは気分が整理されて落ち着いたが、五体のお地蔵さんのことは思い続けていた。
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