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入ってきたのは黒のパンツスーツをきちっと着こなした少女だった。
黒髪のサイドテールで、小柄だが女性らしいメリハリとした体型、顔に浮かぶのは抑えきれない好奇心が宿る瞳に明るい笑顔。
外見的には普通に美少女なのだが、本人に齎された人災の多さになんともいえない気持ちにさせるちょっと残念な少女だった。
呆れてものをいえない僕の代わりに呆れた声で霧華が咎めた。
「水狐。今はお客さんがいないからいいけど、お客さんがいる場合もあるんだから入ってくる時は静かに入ってきなさい」
「あっ、きりちゃん!!ごめんねー久しぶりに面白そうなネタを拾ったからつい興奮しちゃって」
「今、さらっと俺達は客認定から外された気がするんだけど………」
「僕に至っては注文もちゃんとしてるんだが………」
「………あまり、気にしない、方が、いい」
霧華に注意されて少女ーーー服部水狐(はっとり みこ)は、てへっと頭を小突いた。
水狐との付き合いは霧黒と同じ高校の時からの付き合いだ。
当時、新聞部だった彼女の取材に成り行きで付き合うことになったのが僕達の付き合いのはじまりだった。
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