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「あおくん!!許可取れたよ!!早く取材にいこう!!」
「早いよ!!あぁ、もう仕方ないな。約束だしわかった。付き合うよ」
「やった!!それじゃあ早くいこう!!」
そういうと水狐は座っていた僕に近づいて両腕で僕の左腕を掴むとぐいぐいと無理矢理引きずりはじめた。
全く、本当にコイツはほっておけない。
ほっておいたらなにするかわかんないし、約束だから、付き合ってやるしかないよな。
僕はため息を吐いて立ち上がるとカウンターの方で座っていた3人を見た。
「はぁ~それじゃあ、行ってくる。多分、終わったらまたこっちに来るから」
「おうおう、行ってこい。ちゃんと水狐ちゃんの手綱を握っとけよ?俺はここでのんびりとさせて貰うぜ」
「あら、暇そうね。ならそろそろ人が増えてくる時間帯だから手伝いなさい」
「うげっ!!霧華ちゃん、マジで言ってる?」
「当たり前でしょ。美桜も手伝って」
「………うぅ、かったるい」
「かったるいじゃないわよ。仕事の方はひと段落ついたんでしょ?なら、少しぐらいは手伝って。終わったらアンタの大好物のいちごパフェ、作ってあげるから」
「!!………いちごパフェ!!わかった、やる!!」
「おお、お嬢が見事に釣れたな。俺にはご褒美とかないの?」
「あるわけないでしょ」
「ですよねーまぁ、しゃあない。霧華ちゃんの頼みだからな、手伝わせてもらいますか」
そういって目を輝かせた美桜と苦笑いを浮かべる霧黒がカウンターの奥に入っていく。
そんな様子を眺めていた僕の腕を水狐が勢いよく引っ張った。
「ほらほら、あおくんボーっとしないの!!早くいこう!!」
「わかったわかった。んじゃ、いってくる」
「はいはい、いってらっしゃい」
気だるげに手を振る霧華に見送られながら店を出る。
機嫌が良さそうに前を歩く水狐を見ながら、本当に退屈しない日常だなと、僕は改めて思うのだった。
おわり
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