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香田家・玄の部屋
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~あれから数時間~
「ん…やべ…。スゲー考え込んでたじゃん。寝不足なんすけど俺」
ふと、端に寄せて存在をないものにしたスマホに手を伸ばし電源ボタンを押すと真っ暗な部屋が少しだけ明るくなった。
…2:33。
何時に迎えに来るか聞きそびれたけど、一年分の撮影を終わらせるなら日が昇ると同時に撮影開始すると思うからそんなに寝れないだろうな。
…新任直後でよかったかも。
慣れない環境で正直凄く疲れてるけど、まだ授業も始まってないから授業方針を練らなくていいし。
タイミングのいいお誘いだったな。
「んーッ…ハァ…頑張ろ、俺。あの少年の事もだけど、まずは先に玉露との1日だな」
春は新芽の季節…ね。
俺達の友達関係から何か芽生えて違う花が咲いたりするのかな。
それとも…俺はあの子に落ちてしまうのかな。
キラキラと眩しいスマホを薄らと開けた目で操作してアラームを設定してから手の届かない場所に置いて布団に潜る。
何にせよ、冬の寒い日に根付いた種が春の始まりと同時に芽を出したんだ。くよくよ考えたって感情というものはそう簡単に制御できるものじゃないし。
「なるようにしかならないよ」
…わかってる。
だから生きるのは大変で…凄く楽しいんだ。
.・*入学式編(終)*・.
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