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小金井学園・1年3組
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~入学式後、初めてのホームルーム~
“あれぇ…?…遅いわねぇ…何してるのかしら”
“トイレでサボりなんじゃねーの?”
“早速かよ!やり手だな!!”
“…えー嘘でしょ~?アタシの帰る時間が遅くなるから勘弁して欲しいんだけどぉ…”
“先生はこのあと予定あるの?”
“デートだろどーせ!!”
“えー?んふふ~♪内緒~♪”
そんなBGMよりどうでもいい話を繰り広げるお調子者の男子と色気付いた担任の話。
永倉(エイクラ)だから可愛く“永(エイ)ちゃん”って呼んでとか言ってた気がするけど、オレは絶対に呼ぶ気にならない。
こういう場違いな人間が何より嫌いだからな。
「──おい…コイツらが待ってるのって、ニィとさっきの生意気そうな女じゃね?」
「知らねーよ」
「ハハッ、だよな。お前が知ってる訳ねーよな」
「フンッ...」
ギャイギャイとうるさいこのクラスは、さすが体育会系の寄せ集めだけある限りなくバカ丸出しの奴らの集団。
3つの科目に分けられたこの学園のスタイルは、オレのいるスポーツ科がエリートとされてるみたいだが、オレのような体育以外オール1、2くらいの成績でも入れちゃうようなレベルのヤツらが言うことなんてタカが知れてる。
どこ行っても同じような話ばかりで毎年毎年嫌になる。
そんな先が思いやられるこのクラスで唯一“悪くない”と思ったのは、都合よく一番端の一番後ろに位置するオレの席だけだ。
席替え反対。
何があってもここだけは死守したいと思う程度には気に入った。
目の前にはオレを隠してくれる図体を持ったクキが居て、その隣にクキの昔なじみの女子。
確かにオレとの接点はないけど、クキが知ってるってだけで人見知りのオレからしたらかなり助かる。
そして端数のクラスであるオレの隣は誰も居ないと来た。
最高だろ。
クラスが決まったばかりで席替えなんて早々ありえないと思うから、これから暫くは余計な事を考えずに漠然と窓の外を見てられるってことだ。
…席替えになったら学校辞めることを前向きに検討してやってもいい。
────ガラッ…
「あ…遅くなりました…」
「ちょっとぉ!何してるのよ!早く席に座りなさい。アタシのクラスの子になった以上甘やかす事は一切しないからね!」
「…ごめんなさい」
音を立てて開いた扉から入ってきたのは、“ニィ”とクキが呼んでる昔なじみの方だった。
「もう一人居たでしょ?…香田さん…だっけ?」
「──は?居るけど?」
そしてその後ろから思春期剥き出しの態度で入ってきた生意気そうな女。…香田って言うらしい。
つか、人待たせておいてなんだその態度は。普通謝るのが先だろ。
「は?じゃないわよ!席につく前になんで遅れたのか言いなさい!」
「…ちょっと…声でかいんだけど。怒るにしても只怒鳴ればいいって訳じゃないって教員学校で学ばなかったの?」
「…ッ、生意気!いいから理由を言いなさいよッ!廊下に立たせるわよッ?!」
「別に良いしつーかそのまま帰るけど?」
「…この…ッ!」
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