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.・*プロローグ*・.
──思い返せば。
オレとアイツの歯車は、互いに気付き合う前から動き始めていたのかもしれない。
"あっ、おーいそこの急いでるチビ助〜"
"ハァッ…ハァッ…──え?"
"これ、あー…受験票かな?落としたよ?"
アイツとの出会いはこんな感じ。
"ほら…これ大事な物でしょ?"
"え…、…あ!それ…ッ!"
──オレの受験票を拾って爽やかに笑う少し馴れ馴れしい男。
"へぇ…受験生かぁ、可愛いなあ。"
"あ、…ありがとう…っす、"
"…小金井学園…ね、"
"…え?"
"フフッ、なんでもないよ、ほら、急いでるんでしょ?"
"ぁ、そうだった!悪いな、助かった!"
中学入学と同時にほぼ決まっていた剣道による高校推薦は、度重なる怪我が原因で白紙。
代わりに“なんとなく”で受験を決めた高校の試験日に出会った"この人"とこれからどうなるかなんて想像も出来ない。
"あ、おい!地面凍ってるからスべるなよー!"
渡された紙1枚にどんな魔法が掛かっていたのだろう。
少し触れた手に驚いてパッと見上げた先に居たアノ男は、男で生まれたハズのオレが見ても強い憧れを抱く程に綺麗で…
──ものすごく眩しかった。
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