転校生は咲蓮(サキュバス)

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 魔夢は可愛く息を出すと、下着を足首に引っ掛けたままどこかへ消えてしまった。  それと同時に明葉の術が切れた。明葉はまだ顔が赤い。内腿を流れ落ちる汗すら別の汗に思えてくる。  傍らでは翔太が下半身をむき出しにしたまま正気を失っていた。 「み、水野。早くズボンをはきなさいよ!」  明葉は怒鳴り声をあげながら、魔夢に対する怒りを隠すことができなかった。  明葉は家に帰ってきた。  そこは広い境内のある由緒正しき神社だった。明葉は煩悩を打ち消すため、お尻に軟膏を塗り込むと、制服から白装束に着替え裏庭にある自若の滝に打たれた。 「許さない、許さない、許さない、許さない……。煩悩退散!」 「乱れていますね」  明葉の傍らに白袴を着た退魔神社の最高宮司、長沢梅花(ながさわ ばいか)が現れた。 「お婆さま……」  綺麗な白髪をした梅花は鼻を動かすと、小さく印を切った。 「大きく霊力が落ちていますね。まさか操を奪われたわけではないでしょうね?」 「そ、そんな操だなんて、私は退魔神社の跡取りとして必死に精進しております」  明葉は滝の水に透ける胸よりも必死になってお尻を隠してしまった。 「何ですその態度は、隠し事があるなら私に申してみなさい」 「う、うう……」     
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