転校生は咲蓮(サキュバス)

14/32
前へ
/32ページ
次へ
「私はあなたの未来が心配です。あなたは退魔師の巫女として必死に修行をしていますが、霊剣も霊盾(れいじゅん)もなかなか上達しません。はっきりと言うなれば、才能に著しい疑問符がつきます。このまま真面目さだけで魔族と戦うことになれば、いずれは命を滅ぼすことになるでしょう」  明葉は梅花の言い分にうつむくしかなかった。薄々、巫女の才能がないことに気がついていたからだ。梅花は続ける。 「だからこそ。あなたは使い魔を持つのです。たとへ淫魔といえどに、魔の力を服従させることができれば、あなたは格段に退魔巫女としての位をあげることができるでしょう。それに強力な味方が近くにいてくれれば、低級な魔族はおいそれ攻撃をしかけてこないはずです。明葉、あなたの答えを聞かせて下さい」  明葉は大蛇殺を見つめた。……千年以上続く、退魔師の家系を私の代で潰したくはない。明葉は決断した。 「お婆さま、大蛇殺の使い方を教えてくれませんか?」 「使い方はいたって簡単です。淫魔の大蛇の根もとに輪を仕込むのです」 「大蛇の根もと……?」 「そうです。そうすれば、孫悟空の頭の輪、すなわちキンコジの如く、呪文一つで淫魔を操ることができるでしょう」 「で、でも……、大蛇の根もとって……」 「そう。それはあなたの想像通りの場所です。でもそれは同時にあなたの位をあげてくれる試練でもあります。強くおなりなさい」 「大蛇……、大蛇に輪を仕込む……」  明葉は頬を染めながら、お尻の奥がきゅんとなるのを感じていた。     
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加