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明葉は昨日の夜、眠らずに考えた秘策を胸のなかで復唱した。
晴矢学園の校庭に終業のチャイムが響いた。
明葉は一年B組の教室で、すかさず魔夢の腕に抱きついて見せた。
「ね、これから私の部屋に来ない。早速だけど優先権を使わせてもらいたいの?」
本音は、逃がさないだ。明葉は魔夢の気を引くため、相手の指になまめましく指を絡ませた。魔夢は明葉に抱きつくと強くて長いキスを返してきた。
「アウェーって楽しみ」
唇を外された明葉は下着の奥が染みを作ったことに気づきながら、笑顔を返すのが精一杯だった。
魔夢と明葉は退魔神社の鳥居をくぐると、離れのお堂までやってきた。お堂のなかには蚊帳が天井からかかり、その下には綺麗な布団が敷かれていた。
傍らから現れた梅花が魔夢に茶を進める。
「明葉がお友達ですか。これは珍しい、どうぞお上がりください」
「いただきます」
魔夢は優雅に茶をすすって見せた。……ナイスアシスト。明葉は鞄のなかから、チョコレートの箱を出して見せた。
「これお茶うけに、大人の味だけど……」
明葉は一口サイズに小分けされたお菓子を魔夢に勧めた。
「ありがとう。あら、お酒が入ってる?」
「ウィスキーボンボン、二人でリラックスするためよ……」
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