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「すみません。転校初日の緊張感で、昨日、あまり眠れなかったんです……」
魔夢は木内先生に答えた。
……この子、嘘を言っている。明葉は直感でわかった。だが魔夢の全身から放たれる芳香が、明葉の五感を鈍らせる。
「お願い。保健室まで運んでちょうだい」
「長沢、転校生に場所を教えてやってくれ」
「はい、わかりました……」
明葉はクラス委員長として、担任の要請を断ることができなかった。
まだ朝早い保健室には誰もいなかった。魔夢は明葉に肩を借りたまま、ベッドの脇に座り込んだ。
「離してくれない……」
明葉は腰を強く抱かれ困ってしまった。
「名前を教えて」
「長沢明葉よ」
「明葉、可愛い名前ね」
魔夢はそう言うと明葉の唇を奪い舌を絡めとった。
甘い……。そのキスに明葉の体の力が抜けて行く。魔夢は少女が半分落ちかけたことを確認すると唇を離した。
「長沢さん、もし私がサキュバスだって言ったら信じる?」
「サキュバス……?」
「淫魔って言ったらわかるかしら。人間を淫らにして堕落させる悪魔の名前よ……」
魔夢はそう言うと明葉の両手を掴みベッドのうえに押さえつけた。
凄い力……。
「私の力が強いわけじゃないは、あなたが求めているだけよ」
明葉は胸のなかを覗かれた気になり視線を逸らす。
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