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第四話 結界印
退魔神社のお堂のなかは甘美な空気に包まれていた。蚊帳のしたに敷かれた布団に寝そべり、魔夢が明葉に大きくなった蛇を触らせている。
……熱い。
酒を飲ませれば何とでもなると思っていた明葉は、拍動する魔夢の体に圧倒されていた。
「そのまま手を動かして」
「怖い……」
「誘ったたのはそっちでしょ」
「でも……」
「こうやってするの」
魔夢は嫌がる明葉の手を導くと、脈打つ大蛇を握らせ上下にしごいた。
「明葉の手のひら熱い」
「お酒のせいよ……」
明葉は激しい胸の高鳴りをウィスキーチョコレートのせいにしたかった。魔夢は大蛇から視線を外せない明葉をイジメたくなった。薄く微笑み、明葉に触れた手を離す。それでも明葉の手は前後に動き続けた。
「……えっち」
はっとなり明葉は手を縮めた。指先に光るものが絡みついている。
「退魔師なんてやめちゃえば……、興味があるなら落ちたほうが体のためよ。欲求不満は病気の始まりって言うじゃない……?」
魔夢は体中の匂いを発散させながら、明葉を押さえつけた。
「ほら、隠しているものを見せないよ」
魔夢が指先で手首をさすると、明葉の力が抜け、握られた大蛇殺が床のうえに転がり落ちた。
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