第11話 ただ生きていてくれるだけで

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 トラックパッドにのせた手が震え出す。  女子中学生、原因は公表しないが学校でのいじめはなかった、ハルナの同級生が自殺の報道記事をSNSで共有している、現場はハルナがかつて自殺を試みた交差点、学生鞄についているペンギンのぬいぐるみ--。  ハルナでないという確信がほしくて必死になっていたのに、見つかる情報はことごとくハルナに繋がってしまう。ここまでくるともう認めざるを得ない。やはり、あの自殺した女子中学生はハルナだったのだと。 「うぐっ……うっ……」  目頭が熱くなり、抑えきれない嗚咽とともに涙があふれていく。  こんなふうに泣くのは物心がついてから初めてのことだ。止め方などわからない。ノートパソコンが濡れるのも構わずその上に突っ伏して、ただみっともなく泣き続けるしかなかった。
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