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今日は元旦。今年もたくさんのお年玉を貰った。
だが、僕には全くと言っていい程、物欲がない。
だからといって、お年玉を貯金なんてことは嫌だ。今年こそはお年玉を使いたい。
だから僕は取り敢えず、欲しいもの探しに元旦からやってるデパートにでも行くか。その時目に付いたものでも買おう。そう思い、家を出た。
せっかくああ意気込み 家を出たが、結局今年も欲しいものは見つからなかった。欲しい物は愚か目に付いたものすらひとつもなかった。
寒いから早く帰ろう。そう思い、走り出した時
ドカンっ
誰かとぶつかった。
「すいません。大丈夫ですか?」
その人は女の子だったらしい。
まるでマシュマロのような甘くて、柔らかい声で整った可愛らしい顔立ち。
この子から目が離せなくなってしまった。
「どっどこか具合でも悪いんですか!?」
女の子が焦って聞いてきた。
どうやら地面に尻餅をついたまま見つめてしまったらしい。
その時ふと思いついた。
そうだ。お年玉の使い道決まった。この子だ。この子に使おう。そう思った。
「いや、大丈夫だよ。ありがとう。そうだ、今から時間ある?お詫びにお茶でもどう?」
女の子は恥ずかしそうに俯きながら言った。
「じゃ・・・じゃあお言葉に甘えて・・・。」
恥ずかしそうにしながらも、遠慮はしないんだ。
面白くて、可愛い子だな。
そして一緒に喫茶店へ入っていった。
落ち着いた感じのレトロな喫茶店だ。
きっと僕達の年には似つかわしくないお店なのだろうけど。
それから随分話した。結構話が合ったし、何より僕は、この女の子に一目惚れをしてしまったらしい。
もう目が離せない。女の子の行動一つ一つが色付いていや、女の子の周り全てが色付いて見える。その所為か、僕はとんでもない言葉を口にしてしまった。でも、嘘を言っている訳ではない。ただ純粋に女の子が欲しいと思った。
「君をお年玉で買わせてくれないか?」
女の子はまた恥ずかしそうに俯きながら
「こんな私で良ければ買って下さい。」
にっこり笑ってそう答えた。
【終わり】
(次にもページがあります。)
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