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「そうです。松田芸能事務所の松田憲一と言います。よろしくお願いします。」
と、松田は、白い歯を見せながら言った。
佐紀は、
「私達、御茶ノ水大学附属高校の音楽部員で、チャミズガールズというバンドを組んでいるんです。9月15日に高校の文化祭で演奏するので、よろしければ、見に来てください。」
松田は、
「わかりました。見に行きます。」
と言った。
松田憲一は、福岡県出身の27歳。九州大学法学部を卒業し、福岡市の広告代理店に勤務した後、今年の7月に独立して、原宿に芸能事務所を開業したばかりだと言う。
松田は、
「東京の地下鉄は難しくて、よくわからないんだよね。松戸ってJR常磐線なのに、東京メトロ 千代田線から乗り換えなしで行けるって、便利だよね。」
と言った。
未知は、
「そんなこと言っちゃって、ホントは私達をスカウトしようとしてたんじゃないですか?」
と、からかうように言った。
松田は、
「実は、今、うちの事務所には、女優が二人、女性のピン芸人が一人、男性のタレント弁護士が二人いるんだけど、もう一つ、パンチのあるタレントが欲しかったんだよね。これは本当のことだけど、松戸って、取手の先か後かもわからなくて、駅員に聞こうかと思ってホームを歩いていたら、君たちがエスカレーターを降りてきたわけ。一人の美女と出会うことはよくあるけど、二人の美女が制服を着て、一緒にいることなんて、滅多にないから、声をかけようと思ったんだ。でも、バンドを組んでるとは思わなかった。」
と言った。
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