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食事は楽しかった。
あまり内容は覚えていないけれど。
あんな小洒落たレストラン知ってるなんて、不倫する人はそんなもんなのかな。
あまり、深く考えない方がいいけど。
悠哉さん、案外モテて来たのかも知れない。
私がタイプじゃないだけで、さりげない優しさとか、たまに見せる笑顔とか…
時折、見せる寂しげな顔とか、ほら今もーーーー
「キスしていい?」
「ここで?」
私が慌てて、顔を背けると悠哉さんはそれ以上攻めては来なかった。
シタイ…
本当はシタイ。でも、きっと止まらなくなると思う、そんな気もする。
そんな、ちょっといやらしいこと考えてたら、悠哉さんが不意に凄いことを聞いてきた。
「今日さ、泊めてくれる?」
「ウチにですか?お、奥…」
「心配ないよ」
私がそう言い終える前に、口を塞がれてしまった。
「悠哉さん…」
「怯えないでよ、慣れてるでしょ?」
悠哉さんって絶対小悪魔だ。
左隣にいた悠哉さんは、右手で私の震える左手をそっと取ると、ぎゅっと握りしめて来た。
横浜の夜景より、この男の手の温もりに癒されてるなんて。
初めて罪悪感が芽生えた。
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