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私は化粧台に向かうと、ネイル道具を取り出した。
自分でやるのは極たまに。でも、ケアのためにそれなりに道具は揃えてあるし、マニキュアもシーズンごとに買ってはいた。
「結構あるね。俺、ネイル久しぶりなんだけど」
「もう、何年してないんですか?」
「3年はしてないな」
以前の仕上がりは期待出来ないかも知れない、でも悠哉さんがいい。
理屈じゃない、悠哉さんがいい。
「準備しとくからさ、シャワー浴びて来なよ」
「いや、すっぴんはちょっと」
「俺に頼むくせに自分は嫌って?」
悠哉さん、絶対がっかりするアラサー女のすっぴんなんて萌えも何もないのに。
本当は嫌だけど、断って気分害されたら、して貰えないかも知れない。
もう、いい、抱かれるつもりなんだし仕方ない!
「分かりました。準備しますから待ってて下さい」
私はドキドキしながら、着替えを用意すると、シャワーに向かった。
なんて言うんだろう。お店じゃなくて、自宅でやって貰えるなんて
特別感半端ない。
15分後、熱めのシャワーでちょっとのぼせ気味だった私は、部屋に戻った。
「どうぞ、此方へ」
悠哉さんが、差し出した手に導かれれるまま、私はソファーに座った。恥ずかしくて頭にはバスタオルを巻いたままだった。
すると、そっとそれを外して、悠哉さんが顎を右手で持ち上げた。
「眉毛ない」
「見ないで下さい」
「なんで?可愛いのに」
悠哉さんはそういうと、自分もソファーに腰掛けて、私の右手にそっと口付けた。
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