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なんかお姫様になった気分。
「何か飲まないの?」
「どうしてですか?」
「俺、これ貰ったよ」
悠哉さんはそう言って、テーブルにあった炭酸水を取って飲み始めた。そして飲み終えて、私にそれを差し出してきた。
「舞ちゃんもどう?」
私はなんとなく受けとってしまった。
そして、口に彼と同じように含んだ。
「じゃあ、始めるね」
ボトルを置いた私の右手をすっと取り上げると、大事な花でも扱うように、両手で包み込んだ。
「ケアはしてあるみたいだから、早速だけどデザインどうする?」
「お任せします、あっ、いつものおまじないはやって欲しいかな」
「じゃあ、俺もラスト頼みが」
「何ですか?」
「スウェット脱いで、下だけでいいから」
私が暫く返事をせずにいると、悠哉さんは急かすように言った。
「脱がせましょうか?」
「脱ぎます」
私がスウェットを脱いで、床に落とすと悠哉さんは施術を始めた。
「いい眺め」
どこ見てるんですかって言いたい。
けど、私も、悠哉さんが真剣に指輪にベースカラーを塗る眼差しや、時折上目遣いに此方を見つめるのに魅入られていた。
出会った時から、悠哉さんのペースに嵌められていたのかも知れない。
ネイルも恋もーーー
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