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「わかった、和田さんはトークイベントのサブリーダーよね。プロジェクトのチーフは綾ちゃんだから、まず彼女の指示に従うように伝えておいて。それにメインステージのイベントは、本社の広報の方が企画担当してるらしいけど、 確認は大丈夫?」
「はい、それはさっき大野さんに伝えました」
秋田がそこで少し声のトーンを下げたのは、偶然ではない気もするが今は気にしてる場合ではなかった。
「そう、じゃあ謝罪にだけ後で伺うようにする。まずはスケジュール確認して、朝会始めましょう。場所はメインステージの裏で15分後」
「分かりました。招集しておきます」
秋田は深々と頭を下げると、ふわっとした茶髪を揺らせながら、柑橘系のオーデコロンの香りを残し去って行った。
私は思った。
彼女のように可憐なら、私も今頃は誰かの花嫁として幸せを手に入れてたのかな。
秋田歌織(アキタカオリ)24で転職してきて、今年3年目の社員だった。仕事は出来るタイプだろう。それに来月入籍予定らしく、先月祝賀パーティーが開かれたばかりだった。
仕事ばっかりの私と対照的に見える彼女。
でも、私が憧れだとか新人歓迎の飲み会で告白してきたのが懐かしい。
今じゃ…
ほらね。ヒールよりバレエシューズ履いてる。
若干僻みっぽくなりながらも、髪をかきあげると、スケジュール進行を確認した。
仕事に集中しなきゃと。
すると、背後から声を掛けられた。
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