幸せの形

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「はい」 「マネージャーありがとうございます。では、次スケジュール確認していきたいと思いますので、宜しくお願いします」 秋田は、手にしていたプログラムのタイムラインを順にチェックしながら、注意事項や連絡を読み上げ始めた。 私はそんな秋田を見ながら思った。 しっかり、いや、ちゃっかりした子だなと。 そして、ふと私もそう見えてるんだろうかと考えてしまう。 仕事は卒なくこなすのが一番。だろうけど、秋田と違ってブラックのパンツスーツに、黒のスウェードのヒール。スワロフスキーの装飾がなされた、小洒落た時計に強気のメイク。 目の前にいる部下と同じように、ゆるっとしたニットやふわふわとレースが揺れるスカートは今じゃ、すっかり履けない女になっていた。 スケジュールを眺めていると、今日も一日あっと言う間なんだろう。 ミーティングは10分程で終わり、それぞれが自分の持ち場へと別れてゆく。
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