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持っていたタブレットをタップして、予約の入力画面を開く。
時間を入力し、確認してから画面を閉じた。
「お手数お掛けしました。ありがとうございます」
「本当に無料ですか?」
「はい、本日相談は無料です。ご予約11時半でお待ちしておりますので、それまでご自由にお楽しみ下さい」
私が笑顔でそう伝えると、少しだけ彼女の表情が和らいだ気がした。
「ありがとうございました」
去り際、彼女は会釈で返してくれた。
不安そうに彼氏の右腕を掴みながら、歩いていく後ろ姿を見送って、私は次のターゲットを探す。
深入り出来ない部分はある。
でも、この仕事を通して私は学んだことがあった。それはみんな自分の幸せに自信が持てないことだ。
自由になる、それは一見素敵に見えて、支えるものがなくなる不安定な状態でもある。
悩みが消えれば、また違う選択や悩み。
繰り返し選択しているうちに、幸せそのものまで色褪せていく。
何とも皮肉な時代。
でも、だからこそ一緒に寄り添って幸せを形に出来る仕事は重要なのだ。
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