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「お待たせして申し訳ありません。今日のイベントの主催責任者で、大野と申します。
場内は撮影禁止となっておりましてカメラ撮影等ご遠慮頂いておりますが、如何されましたか?」
崇さんは丁寧に相手に挨拶すると、男は呆れたように言い返して来た。
「知ってますよ、今日はドロシーさん主催でブライダルフェスタやってらっしゃるんですよね。真中エレナも来てるとか?」
緊迫した状態が見て伺えた。私は下手に自分が出るよりは見守るしかなかった。
「困ります。今日は一般の来場者の方々も多くいらっしゃってます。マスコミ関係の方はパス持った方に限らせていただいてます」
「あのスキャンダルは本当は俺のリークで、新聞社のスクープじゃねぇんだよ」
意味不明なことを喚き散らし、食い下がって引こうとしない男に苛立ちを覚えた様子の崇さん。彼は徐々に表情に怒りを滲ませていた。
周囲のスタッフも困惑している様子だった。
「真中は本当は大下とは付き合ってなくて、遠藤真白の友人…」
相変わらず、自分の事情を押し付けて立ち去ろうとしなかった男に崇さんは鋭い視線を向けながら、妙なことを口にし始めた。
「あのさ、あなたさっきから左手ずっとパーカーん中に入れてるみたいですけど、何かあるんですか?」
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