幸せの形

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その途端、男が凄い形相で此方に振り返って走って来るのが見えた。 左手のペディーナイフの輝きに目を奪われた瞬間、恐怖で私はしゃがみ込んだ。 ど、どうしよう!!すぐ立ち上がれずにいると、パーカーの男が転がって来た。 「舞、どけ!!」 崇さんの声が降って来る。暫くして目を開けると、警備の人や崇さんが男を取り押さえていた。 「誰か警察連絡して」 「そっち右押さえろ!!」 悲鳴が聞こえた。場が騒然とする中、震えて立ち上がれない私の前に赤い血の雫が一滴染みを作った。 恐る恐る顔を上げると、崇さんが血の気をなくした表情で私のことを抱きしめてくれた。 「舞、無事か?」 「だ、大丈夫。でも、あなたは…」 そういった崇さんの右腕からは、スーツの袖から赤い血が滲み手の平は真っ赤だった。
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