232人が本棚に入れています
本棚に追加
時間5分前、ロビーのラウンジに腰掛けて待っていると、彼がやって来た。
「舞」
私は名前を呼ばれて思わず立ち上がった。
元気そうな顔が見れて安心したからだった。
「手はもう大丈夫?」
「あぁ」
崇さんはそう笑顔で答えると、左手を差し出した。
こんな日にスーツ着てくることないのにと思っていると、ネクタイは以前私がプレゼントしたものだった。
「似合ってる」
耳元でそう囁かれて、思わず体の熱が上がる。
「まだ、持ってたのね」
「お気に入りは捨てない」
こういうやりとり懐かしい。
そう言えば、付き合ってた時からデートの時はいつもエスコートして貰ってたな。
あぁ、居心地いいと騙されそうになる、自身の想いに。
最初のコメントを投稿しよう!