White snow

9/19
前へ
/96ページ
次へ
「お前にとって、俺がなんだったか考えたことある?いや、どの女にとっても、そうかも知れないけど」 「どういうこと?」 私が崇さんに尋ね返すと、彼は私を抱き寄せ頭を撫でながら耳元で囁いた。 「保険」 私は否定しようと唇を震わせたが、彼はそっと人差し指の腹で、私の唇を抑えた。 「証明出来るの、それ以上の存在だって」 冷たい響きだった。氷のように肌を突き刺す視線と、気付いた時には外されていたブラのホック。 「エリートの宿命かな?俺に尽くすより、肩書きにひれ伏されるのは。抱いて満足出来た女なんて一人もいないよ。 でも、そう思うとお前は俺に尽くす素ぶりは見せても、好き勝手やってたなって」 結い上げていた髪止めをとると、パサリと髪が肩にかかる。 「俺、あの日自然に身体動いたんだよね。舞死なせたくないって。 あぁ、愛してるんだろうなって確信したよ」 今まで見た事なかった。崇さんだけじゃない、男の人ってこんな表情するんだって。 ぎゅっと抱きしめるようにして腰を突き上げられると、今にもはち切れそうな愛が当たった。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加