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「卑怯なのかな俺。本気だと思うんだけど」
徐々にショーツの中に指を入れると、彼は躊躇うことなく私の身体を刺激し始めた。
「期限つきなら」
私からやっと出た言葉はそれだけだった。
「どういうこと?」
「不倫してる」
「なるほど、振るに振れない理由はそれか」
面白がるように崇さんは高笑いした。
「一年、誰も現れなかったら、プロポーズ受けてもいい」
プロポーズなんて、いきなりされてもyesなんて簡単には言えない。
でも、きっと彼も同じくらい簡単には出来なかったはずだ。彼だって一年あれば他にいい人現れるかもしれないし。
そう思っていると、今度は崇さんが条件を突きつけてきた。
「じゃあ、1年の間に子供が出来た時は大人しく俺と結婚して貰える?」
「えっ?」
「不倫ってことは相手と関係あるんでしょ。寝るなとは言わないし、関係切れとも言わない。ただ、向こうとやるなら避妊は絶対。条件飲むなら、保険代わりにどう?」
「保険なんて…」
「今時、働いてる適齢期の女にとって自分を愛してくれる男いや、結婚の保険ないんじゃ恋さえ価値ないんだよね」
当たってるかもしれない。でも、そうか。引き換えに子供って代償か…
崇さんってただ優しいわけじゃないけど。適齢期の女にとっては一番いい男かも。
その晩、私は彼の欲望に従うまま、ベッドの上で、快感と恐怖に躍らされた。そして、彼の腕の中で疲労の中眠りに落ちた。
私の逃げ場のない愛と崇さんの卑しい欲望が絡みついた夜。
その日はガラスの表面に張り付く雪が、冷気で凍りつくほど寒い夜だった。
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