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「で、ウチに何しに来たって?」
金曜の昼下がり、私はかつての同僚、向 志帆の家に居た。
3LDKのマンションの8階。眺めも風通しも、日当たりもよかった。
私が持参した手土産のシュークリームは3歳の子供達によってすペロリと平らげられた。大人は殆ど口に出来ず、志帆がクッキーを用意してくれた。
そして、今は入れて貰った2杯目のコーヒーを頂いてるところだった。
「だから、その相手の忘れ方というか、別れ方を」
「はぁ?」
「だから、その不倫の…」
「ちっ。お前らうるさいの!!大人しく出来ないなら、あっちで遊べ!」
私は彼女が子供を叱る間、ただ黙って待っているしかなかった。
きゃあきゃあ騒ぎながら、遊具に群がる子供達。それを仁王立ちで叱る彼女は逞しい母になっていた。
子供居たらあんな感じに私もなるのかな?
そんなことを考えていたら、志帆が戻って来た。
「ごめんね、煩くて」
「いや、急に来たこっちも悪いし」
「で、不倫してるって?」
「うん」
志帆はコーヒーが入ったマグカップを持つと一口啜った。
そして一息ついてから、話始めた。
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