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私は受付の大島を連れて、一度事務所に戻った。
「彼方のお二人はどんな用件でいらっしゃったの?」
「以前、此方でご友人が式場探されたようで、親身にアドバイス下さって良かったということで是非利用してみたいと来店されたようです。それが2年以上前なのか、廣田さんがいいって…マネージャーですよね、多分」
あぁ、奥さんの友人で昔の顧客ってことか、悠哉さんが調べたわけじゃないのかな…。
でも、2人入籍して式まだだったとかかな、深い話出来れば聞きたくないな…。
「どうしますか?担当、違う方回しますか、マネージャー忙しいですよね」
「成約確認の電話一件したかったんだけどね。向こうの担当者3時まで接客中らしくて」
「相澤さん3時までだと思うので、ちょっと待って貰って、お願いしますか?」
今は2時40分。あまり待たせるわけにも行かないけどと、困っていると電話を終えた有紗が近付いて来た。
「舞、どうした?」
私は大島さんに断って、有紗を連れると奥の会議室に入った。
「何があったの?」
「悠哉さんが来た。奥さんと一緒に」
有紗は一瞬表情を固めた。
「私出ようか?」
有紗は心配そうに私の震える手を掴んだ。
「わかった。ダメな時はわたしが居てあげるから、行っといで」
何よりも心強い言葉だった。
私は頷くと、有紗にお礼を言って2人の元へ戻った。
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