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「昔の話で、今は腐れ縁というかね」
ナイスフォロー。
崇さんだった。
妊活もプロポーズもこの場で知られて良い話じゃない。
有紗は不服そうに私を睨んでいたけれど、私は嫌だった。
「皆さん、盛り上がっているところ悪いんですけど、こっちで料理ご用意させていただきましたので、よければお熱いうちにどうぞ」
皆が一斉に注目した。真下さんはさらに続けた。
「ドリンクはカウンターのスタッフに頼めば、ボードにあるメニューはお替り自由です。
時間は10時までの約2時間。LOは9時30分。
それまではこのフロアは貸し切りですのでご自由にお使いください。
テラスの向こうの夜景は一見の価値ありますよ。どうぞごゆっくり」
真下さんはそう説明すると、私は仕事があるのでと部屋を出て行った。
ドリンクに食事に夜景まで本当にこんなに豪勢に祝ってくれるなんて、思いもしなかった。
有紗は相変わらず笑顔ではあったけれど、どこか素っ気なかった。
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