本命

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「河井悠哉をウチの美容部門の営業で採用したのが2年前。当初ネイリストってのは隠して面接に来たらしい。 後から調べれば分かるのにね。 まぁ、実言うとあいつ浮気疑われて右腕切らされたんだよね」 私は絶句した。そして、思い出した。悠哉さんが右腕にリストバンドをしていたことを。 「奥さんに腕を切らされたって?」 「あいつネイリストってのが許せなかったんじゃない? 奥さん可愛いんだけど、病んでてね。ありもしない浮気でっち上げて悠哉脅したり、身体傷付けたり、家族みんな疲弊させられたよ」 そうだったんだ…。 しかし、真下さん詳し過ぎないか? この人、何故こんなに詳しいんだろう。 うん…待てよ。確か真下さんの奥さんって、アレ? 「あの、美穂さんってもしかして…」 「気づいた?悠哉は俺の義弟だよ。美穂は悠哉の姉」 真下さんはそう言うと、事務所の窓をうっすら開けて、タバコを咥えた。そして、ライターで火を付けた。
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