本命

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「俺も最初は知らなかったよ。あいつがこの会社受けてたことは。 ただね、俺からはね詳しくは話せないけど、あいつにとっては黒歴史なんだろうな。 気も弱いあいつが、夫婦喧嘩で怪我ってのは、聞いた時正直驚いたけどね。それで今は別居中」 真下さんは身内の恥を晒すのが納得いかないのか、半笑いで語り出した。 「あいつはネイル以外、本当に何もないっつーか、つまんない奴だよ。本人もそれは知ってんだろうけどな。 好きな女1人まともに抱けない状態で、傷ついた心と身体癒したくて不倫に走ったんだよ、君とね」 大人の真下さんからすれば悠哉さんの行動は子供じみていたのか、呆れた様子だった。 「それがね、年末になって離婚出来そうだって喜んでね。好きな人に告白したいから、協力して欲しいって頼まれてさ。俺も馬鹿だよな…。 上に取り合ったら、別に空いてるなら構わないって。ちょうどバレンタインはフェアで式は入ってなかったし」 なるほど、悠哉さん1人の力じゃなく、身内の協力あってなら納得。 「まぁ、あいつの持ってるポケットマネーじゃ、到底ここは貸し切れないよね。でも、サロンのネイリスト不足してたし、腕みると使えそうだったから、週末バイトして貰って多少値引いてやった。それでも、足りない分は家族でカンパしたけど」
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