229人が本棚に入れています
本棚に追加
人生で、こんなに身も心も満たされた日は、恐らく一度も無かった。
好きな人と愛し合える、それが一番の幸せだと実感していた。
夜もすっかり深くなっていた。二人して、眠りに落ちかけていたその時だった。私は悠哉さんの腕の中である事実を知った。
「そういえば、俺も今日誕生日だったんだよ」
「おめでとう」
私は思わず笑顔になった。
これが私なりに見つけた一番の幸せだった。
どんなに素晴らしいプロポーズを貰うより、愛した人の腕の中で眠れる幸せに浸りたかったのだ。
あの日、彼が掛けたおまじないは、今も指先に輝いていた。
Fin
最初のコメントを投稿しよう!