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俺は突然放たれた殺気に気付き、講堂から瞬時に離れる。
その直後、俺が立っていた位置に手短い鉄の棒を尖らせただけの簡素の槍が、俺の少し前居た場所へと突き刺さる。
トラップーー?
一瞬、トラップによる可能性を考えたが、これはトラップなどではない。
何故なら、そこには人とは異なる何者かの気配があったからだ。
(犬....?
いや、違う、これはーー!)
奇妙な器具を着けた犬。
だが、それはただの犬ではなかった。
胴体に小柄な人間の腕を生やした異形の犬だ。
いや、それ一匹ではない。
俺は周囲の気配を探る。
他に二匹の犬が現れる。
人間の手足を生やした犬と、背中から四本腕を生やした犬。
人間の手足を生やした大型犬は、金属製の爪を装着し、四本腕の犬は四本腕にナイフを持っていた。
「ぶっびゃびゃびゃびゃ!
どうじゃ、ワシの頼りがいのある護衛に囲まれた気分は?
怯えながら死ぬがいい!」
「ここに人の護衛がいなかった理由はこれか。
このキチガイめ..。」
「黙れ、ゴミ虫風情が!!
殺せ、お前達!!」
講堂は、苛立ちを含む物言いで犬達をけしかける。
直後、犬達は人間の手足を器用に使いトリッキーな動きで俺に襲いかかった。
四本腕は人間の手で柱を掴みながら、人の手足を持つモノは跳躍しながら、また二本腕は犬の足で壁を蹴っての強襲。
訓練された動きに、見事な連携。
これならば訓練された兵士ですら、瞬殺であろう。
だが、それは普通ならばだ。
俺は周囲の犬達に向けて、殺意の塊を放つ。
その直後、周囲の犬達の動きが止まり連携が崩れる。
決着は一瞬だった。
俺は三角定規の切っ先で瞬時に、犬達の首筋を切り裂く。
犬達は力なく落下し、小刻みに痙攣した。
「な..んだと!?」
「当てが外れたみたいだな講堂?」
講堂に向けて、ゆっくりと向かうと講堂は先程とは異なり、脅えながら後退りする。
「くくく、来るなーー!
来るんじゃない!!」
見苦しい限りだった。
講堂は情けなく泣き叫びながら、必死に距離をとろうと試みる。
だが....。
「後ろは壁だ。
もう逃げ場はないぞ講堂?」
「ひぃぃぃぃぃ!!
頼む、後生じゃ!
幾らでも払うから命だけは助けてくれ!?」
この後に及んで、命乞いーー。
見苦しこと、この上ない。
「目障りだ、さっさと消えろ!」
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