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そう言い放ちつつ俺は、三角定規を振り下ろした。
ーーーーーー
「終わったな..。」
俺は醜い死に顔の講堂を見下ろす。
手帳のリストに乗っていた最後の一人が講堂であり、明確に分かる妹の仇だ。
父や母を殺したのも講堂なのだろうから、仇討ちは終わった筈..。
俺は講堂を含む死体だらけの部屋を見回した。
周囲を見回した所で、他に何がある訳でもないーー。
筈だった..。
だが、幾つものガラスの檻の中に最早、死にかけであろう手足の無い幾数もの少年少女。
その中の一つに、死にかけの少年少女に埋もれて、一人の少女がうずくまる。
血の染みが点在する白いブラウスだけを身に付け、澄んだ瞳で俺を見詰めていた。
ーーどうする?ーー
彼女を見た瞬間、俺の内に一瞬の迷いが生じる。
本来ならぱ殺し屋の鉄則として、目撃者は始末しなければならない。
何故なら目撃者を生かしておく事は、命取りになる状況を招くからだ。
だが....。
直後、少女と目が合う。
恐怖を含まぬ静かな瞳で、少女は俺を見詰める。
人の死が無数に広がる悪夢のような現状で、少女は何故か俺に向けて微笑んだ。
澄んだ奇妙な懐かしさを感じる瞳で..。
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