ふたりの距離編②『憎たらしいのに切ない』

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「森野さんの言うとおり、デートもパパドールも取り敢えずあとにしろ。七尾と黒崎に頼みたい案件がある」 金村チーフの声が仕事モードに戻った。「立ってない座れ」とわたしたちを促す。 「駅前エリアの再開発プロジェクトに我が社が参画しているのは知ってるな」 「ええ。駅を含む商業施設の整備とそれに合わせた周辺の再開発ですね」 昨年末に老朽化した駅ビルを立て直した新たな商業施設がオープンした。有名なファッションブランドや海外のインテリアショップ、そしていくつものレストランが入ったモダンな外見のビルである。 「そのエリアの一角に、この春、医療モール施設がオープンする。ビルはある医療法人の持ち物で、そのモールの中に内科のクリニックと整形外科、歯科医院(デンタル)そして我が社の調剤薬局が入る。整形外科を除いたメディカル施設の開業までの整備手続きを、我が社が請け負った」 「整形外科は?」 「残念だが我が社のライバルであるウエルネス・ホールディングスが取った。クリニックとデンタルの請負契約締結までは別のセクションで済ませている。その先の仕事は俺たちの出番だ。開業までの法整備的なもの、設備や区画についてと行政への手続き届け出まで完結させる。調剤薬局については、いつものように薬剤師免許を持っている森野さんにお願いするとして・・」 チーフが森野さんを見てうなずいた。彼女もうなずき返す。既に話がついているようだ。 「クリニックとデンタルについては七尾と黒崎に頼みたい。もちろんいつもどおり、俺も全力でサポートする」
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