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「…じれったい!」
「何がですか?」
「やるならさっさとやれよ!まさかやり方が分かりません、とか言うんじゃねぇだろうな!」
「さすがにそれは無いですよ」
薄く笑ってその胸元に舌を這わすとまた彼の身体はびくんと跳ねた。
「もう、そういうのいいから…」
首に腕を巻きつけられて耳元で囁く甘い声「早くいれろ」
声は甘いのに、甘さは微塵もないその命令口調にまた笑ってしまう。
「情緒がないですねぇ」
「今そういうのいらねぇから!これ完全にヒートだからな、なんでお前そんな余裕ぶっこいてんだよ!」
怒る姿も愛らしいなどと思えるのは相手が『運命』だからだとしか思えない。
だが、自分も余裕がある訳ではない、部屋に連れ込んだ際お守り代わりの薬をひとつ口に放り込んで今はなんとか理性を保っているのだ。
だが、その理性も途切れがちなのは自分でも自覚していた。
「余裕なんてないですよ。いれたくて堪らないのは私も同じですが、そんな獣じみたまぐわいはごめんですよ。優しくしたいんです、駄目ですか?」
「我慢できないんだよ、はやくお前をよこせ!」
そう言って彼は起き上がり馬乗りになるようにナダールの上に跨り、髪をかき上げる。
「扇情的ですね。さっきまで嫌がっていた人とは思えない」
「お前が焦らすから!」
「焦らしていた訳ではないんですけどねぇ」
彼の下からまた白磁のような頬を撫でると、きっ!と睨まれてしまった。
これ以上はまた彼を怒らせてしまいそうだと、己のモノを出して彼の前に晒す。
先程から自分だとて苦しくて仕方なかったのを我慢していたのだから、そんなに睨まなくてもいいじゃないかと少し拗ねたような気持ちになったが、そう思ったのも束の間でその己のモノを彼は自身の口の中に誘い込んだので、ナダールは目を見開いた。
「え?ちょ?何してるんですか?」
「こんなでかいの、そのまま入る訳ないだろ。Ωだって言ったって身体は男だ、なんの準備もなしに入ると思ったら大間違いだ」
「だったらやはりもっと時間をかけるべきなのでは?」
「身体が欲しがってんだよ!つべこべ抜かすな!!」
なんだか物理的に甘い空気は流れているのに、甘い雰囲気にはなれない事に苦笑する。
「分かりました、私も馴らすの手伝いますのでこっちに来て下さい」
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