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「嫌ですよ、何を言っているんですか?殺す?誰が誰を?私は愛する人を殺すような、そんな趣味は持ち合わせていませんよ」
ナダールの言葉に返事はなく、彼は既に理性を手放してしまったようで瞳からぼろぼろと涙を流しながら、あえぎ声を零し続ける。
今更行為を止める事もできず、ナダールはその身体を揺さぶり続けたが、どうにも心は冴えてしまって疑問ばかりが頭を巡る。
『運命』の2人だ、例え今すぐ番になれなくとも結ばれる事が決定付けられたような2人のはずなのに、彼は自分を殺してくれとそう言うのだ。
チョーカーを着けた相手もまだ彼は教えてはくれない、自分は彼を何も知らない。
それなのに本能のままに彼を抱き潰すことが『運命』だというのなら、それは何か間違っているとそう思った。
身を離そうとすると、足でがっしりホールドされてしまい離れることができない。
間違っていると思いはしても彼から漂うフェロモンはただただ甘くてナダールの脳を麻痺させた。
こうなってしまうのも『運命』なのかと諦めて、自身も理性を手放す事に決める。
その後のまぐわいはまさに獣じみて、その行為は明け方まで続いた。何度彼の中に己の精を吐いたかも分からなくなった夜明け、ようやく2人は意識を手放した。
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