おやすみ鳴子さん

１

　私の名前は、鳴子瑠奈。今年の十一月で十四歳になる、中学二年生の、十三歳。
　物語冒頭の常套句として、『どこにでもいる普通の』というのがある。しかし、そう胸を張って言うことができたらどれだけ気が楽だろう。
　テレビやマンガで、『どこにでもいる普通の』と言われると、少し歯がゆくなる。自分で言うのも何だが、私はその『普通』になり損ねた女子中学生だ。
　私は、ある一点を指差して「そんなの普通じゃねーよ！」と言われれば、あなたの言うとおりですと虚ろな目で認めざるをえない。
　それほど、私は『普通』とかけ離れている。
　普通とかけ離れてもう二年になる。さすがに二年も経てば、その状態に慣れてくる。もはや、普通だった頃の生活を思い出すことさえ難しくなる。
　二年経てば、人間の体は少なからず変化がある。中学生ともなれば、色んな所が大きくなる。私の体も例外ではない。
　背も少々伸びたし、それにあわせて体重もそれなりに増えた。どうして体重は少々じゃないのか。いや、おいしいものをそれなりに食べた記憶はあるので、体重が増えるのは仕方ない。だが、それに呼応して身長も伸びてほしかった。