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ついでに、胸の大きさも、不変というわけではない。周囲の同年代と比べると、明らかに大きくなるスピードが遅い気がするが、きっと大きくなるタイミングが、他の人より遅いだけだろう。大器晩成というやつである。決して、これでお終いではない。ですよね、神様。
○
朝日がカーテンの隙間から部屋に射しこみ、その光によって私の睡眠は終焉を迎える。
ベッドに横になったまま体を伸ばし、眠気を限界まで取り除くと、ゆっくりと立ち上がって、部屋に置いてあるスタンドミラーの前に立つ。そのまま、他の人より成長の遅い自らの胸をパジャマ越しに触る。
柔らかいだけの二つの膨らみは、手のひらにすっぽりと収まるほどの大きさ。
「おっはよー! 我が妹よ!」
突然、私のお姉ちゃんがノックもなしに私の部屋に入り込んでくる。私は驚いてお姉ちゃんの方に体を向けるが、手のひらは胸に置いたままだ。
「……揉んでるの?」
「……違います」
無駄に他人行儀な返事をする。
「朝ごはんできてるから、朝のマッサージが終わったら降りてきなさいね」
お姉ちゃんはそう言って、静かにドアを閉める。
朝のマッサージって。私は毎日マッサージをしているわけではないのだが。したほうがいいのかもしれないけど。
私は胸に置いていた手を下ろすと、何度か自分の髪に櫛を入れ、髪の乱れを整える。さらにパジャマの乱れを軽く整えると、踵を返して部屋を出る。
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