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階段から転げ落ちないように気をつけながら降り、一階にたどり着くと、朝食のいい匂いが鼻の中に入り込んでくる。この匂いを嗅ぐのが、私の朝一番の楽しみと言っても過言ではない。今日の朝食は、目玉焼きだ。
リビングへ行くと、お母さんとお父さん、そしてお姉ちゃんが一足先に朝食をとっていた。家族はもうひとり、お兄ちゃんがいるが、大学生で一人暮らしをしており、ここにはいない。
「「「おはよう、瑠奈」」」
お母さんがいつもの優しい声で挨拶をしてくる。お父さんは新聞から一度も視線を移さない。お姉ちゃんはわざわざ手を振ってくる。
「おはよう」
私は、三つの挨拶に一回でまとめて返し、ダイニングテーブルの空いている席に腰掛ける。目の前に朝食が並んでいるのは、当たり前のようで、とてもありがたい。
「いただきます」
丁寧に手を合わせながら、蝿が飛ぶような小さな声で、目の前に並ぶ食事に感謝する。
「そういえば、今日の占い、さそり座は九位だってさ」
私が目玉焼きに箸を入れようとしたところで、お姉ちゃんが、味噌汁をすすりながら報告してくる。
さそり座は、私の星座。お姉ちゃんはふたご座。
「九位かー。微妙だなー」
「確かね、『今日は、身近にいる大切な人に感謝する日です。ラッキーカラーは白、ラッキーアイテムは車、ラッキーナンバーはゼロ』だったよ」
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