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「ミーナ様、ミーナ様。どちらへおいでですか。ああどうしましょう。もうパーテイが始まってしまいます」
血相を変えたメイドたちが星雲城の中を走り回る。
ライト・シュライト王のひとり娘が書き置きも残さずに姿を消したのである。
「これは、ジョンナ・ストル様、ミーナ様を見掛けませんでしたか?」
「ミーナ様を外に探してきます。行き先はわかっていますから」
弱々しく言い放った青年は星雲城の軍師であった。ストルは血の気の引いたメイドに優しく言って星雲城を離れた。
星雲城の城下に星雲街という場所がある。
ミーナが逃げたとするならば星雲街であるとストルには予想がついていた。
星雲城の中庭はパーテイの為に飾られた松明と魔術師によって作られた光が浮かび上がり、昼間のような明るさを保っていた。
「ストル、ストル。あたいもいくよ」
馬屋番のユナが走ってくる。
「お仕事の方は?」
「関係ないよ。全く困った姫様だよね。寄によってパーテイに不在だなんてさ」
「いつもの場所に行って居るのでしょう。あの魔術師のところへ」
ストルはゆっくりと城門へと向かう。
「姫様はあの魔術師に惚れていますから。叱ったところで無駄です」
「魔術師のどこがいいんだろうね?」
ユナが首をかしげた。
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