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ストルは深いため息を付くしかなかった。
城門を抜けると松明の明かりが道を照らす。
パーテイに呼ばれた諸国の王子や伯爵がミーナの──地位の為に集まっている。
馬車が何台も中庭に収まっていく光景を横目にストルとユナは歩いていく。
魔術師ロストは星雲街に住んでいる。薬草を煎じて住民に提供して生活をする。
ここ、プラネット大陸には不思議な力魔術を扱う人間と普通の人間が混在して生きている。
遥か昔に戦争があったものの今はそれなりの平和を築いている状態であった。
ストルが知るかぎり、魔術師たちは小さな村を作って細々と暮らしている。
ロストは南から旅をして来てプラネット大陸北部の
アルタイル国星雲街に住み着いた。
ミーナと出会ってからは五年が経っている。
ストルは何度かミーナをロストから引き離したが無駄なことだった。
ロストとミーナのことに関して王であるライト・シュライトも芳しくは思っていない。
それゆえ、まだ十三のミーナの結婚を急ぐ計らいになったのだ。
とはいえミーナが簡単に頷くことはなく、ずるずると時間ばかりが過ぎていった。
そして今夜もまた十三のミーナは城を抜け出した。
これで十を越える。
ストルは二十で軍師となった。兵法の基礎など恋愛にはなんの関係も無いことを理解している。
だから逃げるようなミーナの行動を無理矢理操作することができないことも知っていた。
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