第2章 親父の過去

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時は2030年。 娯楽を楽しませるモノは、アンドロイドの時代へと突入していった。 ロボットは、絶対に音を外さない。 人よりも、ロボットアーティストの方がはるか確実にいい性能の歌が作れるという時代へと突入した。 好きなアーティストは探す時代から、作る時代へ。 容姿も、声質もインターネットのアンドロイド製作サービスで希望通りのアーティストを作れば、望み通りの歌手が誕生する。 希望通りのアーティストを世に送りだし、 誰が一番になれるか競う「アンドロイドレコード大賞」が五年前から設立された。 賞金は、1000万円。 勿論、全部出来レースだ。 スポンサー、起案者は、全て親父。 この企画やアンドロイド文化を考え生み出したのも、全部親父だ。 親父の主催する三谷コーポレーションの会議では、何処に賞金を与えるかというミーティングが先に繰り広げられる。 「感動は作れるんだよ。金と権力で。」 が、親父の決まり文句だった。 ダンサーも、インターネットで作れる時代へと突入した。 何体踊らせても完璧に揃うアンドロイドがいれば、人間が踊る必要などなくなったのだ。 そして、大幅なアーティストやダンサーはリストラへの道を辿る時代へと突入していったのだ。 そんな文化作った親父にも、実は昔趣味で踊りをしていた頃とかあったんだ・・・。 「趣味なんて、くだらないものを持つな」 俺に、強く言い放った親父。 俺が趣味を持とうとカメラを持てば、 途端に投げつけてボコボコにし、狂ったように両頬を殴られた。 「いいか!勝手に、何かをしようとするな! お前は、俺の言うとおりにすればいい。 今度勝手な事したら、こんなことじゃすまないからな!」 今でも、それがトラウマだった。 たまに、眠る前になるとフラッシュバックで殴られた日を思い出す。 朝起きると、自然と涙が溢れる。
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