拝啓、廃ビルより。

登場人物

◎安藤桃子 あんどう ももこ

主人公。31歳独身。職業フリーライター。
廃ビルの屋上巡りをライフワークとしており、そこで巡り合った人々との交流を文章に残している。

廃ビルで巡り会う人々

◎定井貞吉 さだいさだきち

「ここに居るとな、下にいたんじゃ見えないもんが、色々と見えてくるんだよ。どうだ？いい眺めだろ」
年齢不詳。おそらく50台半ば。ホームレス。渋谷のはずれにある廃ビルの屋上にテントを張り、暮らしている。
のらりくらりとしているが、周辺の町情報にはやたら詳しい。

◎森井 咲子 もりいさきこ

「アタシ…これまで何してきたんだろうって……。みて、あそこ。ふふ、昔の男、今でもあそこに住んでんだ。未練がましいよね。ホント、やんなっちゃう」

29歳OL。仕事のできる女だが、プライベートをほったらかしにしてきた人生に空虚感を感じている。趣味は一人旅。
廃ビルの屋上から、昔の彼の部屋を眺めてはため息をついている。

◎葉山みく
「ぱぱもままも、いないよ。みく、一人で来たんだもん」

9才。
不仲の両親の元を飛び出してきた家出娘。
9才なりに、自分の家庭に対して色々と思うところがあるようだ。