帰りたかった家

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帰りたかった家

 この駅で降りるのは、知り合いの葬式で来たのが最後だから……五年ぶりだ。  改札を抜けてロータリーを右へ。小さな店ばかりがごちゃごちゃと賑やかな商店街を真っ直ぐに。薬局の隣に金物屋。軒下にはアルミの大きなやかんが一括りにぶら下げられている。その向いに天ぷら屋と生花店。俺は、天ぷら屋と生花店の間を覗き込んだ。  人ひとりが通るのがやっとの細い通路が奥へと伸びている。俺はバッグを抱えて踏み込んだ。  その古色蒼然たるアパートは記憶どおり通路の突き当りにあった。俺は階段の下に何気なく目をやって叫びそうになった。誰か倒れている――俺は駆け寄った。
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