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第一章『戦場の少女』
愛情というものを知らずに育ったボクは、だからあるとき聞いたんだ。
愛ってなんなの?
そしたらその人はしばらく考えてこう答えた。
欲しがるうちは愛じゃない。
わからない。
欲しがったらだめなんだ。
脊髄を分断してしまうような爆発に奥歯が磨滅する。
絶え間ない咆哮と、空を引き裂くような叫喚。
足音、そして銃声。
火薬と血と汗に彩られた、ここは戦場。
神紀二五三二年。
国号を日出(ひいずる)と定め帝政を布いた極東の島国は、その四十年後、世界大戦に参戦した。
戦争の歴史は開発の歴史でもある。
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