第五章『感情』

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 それはすなわち、ひるねらの四肢をもぎ取り、やがて脳のみにする計画。人を人とも思わぬ所業であるが、優れた兵器を作る、戦争に勝利する、それらを目標に据えたとき、姥負のような非人道的なまでの合理性は有効と云えなくもない。実際姥負は陸軍内でも評価の高い男である。  それに違和感を覚えた男が一人。  眠の意は決している。  この場をどうにか遣り過ごさねばならない。目の前の機体を退け、あるいは破壊し、この場から脱しなければならない。そうしなければひるねは、  「唆したな、精神科医!」 「人生は選択と決断でできている。僕は彼女に別の道を示しただけだ」 「貴様もだ、作業員!」  槐は姥負を見もせず、悪趣味すぎだあんたはと呟いた。  姥負は百万遍苦虫を噛み潰したような顔をして、いい選択だと思うかと怒鳴った。  そんなもの死んだ後に回顧すればいい。  仕事振りは真面目で性格も温厚だが、どことなく後ろ向き。もうそうした自分とは離別すべきだと眠は思っていた。 「日輪を奪ってどうする? この国に反旗を翻すか?」  眠は答えなかった。集まった兵士たちを徒に興奮させたくはない。     
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