第一章『戦場の少女』 

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 そんな陸軍中将の言葉が開発の根本にあると云われるが、定かではない。  今日も戦地に日が昇る。  進軍ラッパが鳴り響く。  絶叫に近い雄叫びを上げて若い兵士たちが敵陣に突っ込んでいく。  機関銃に蹂躙され、爆弾に吹き飛ばされ、今日も幾人も命を散らす。  しかし今日は違う。  全軍撤退のラッパが戦場に鳴り響いた。兵士は戸惑った。まさかここまで無理な作戦を押し通しておきながら、今更占領を諦めると云うのだろうか。潤沢な地下資源を手に入れ、戦争を優位に進めるのではなかったかと誰しもが思った。だが違った、極秘上陸していた新鋭機がついに前線に到着したのだ。  迫りくる地響きに、十五になったばかりの新兵は慄いた。  退けと指令は受けているが身体が動かない。塹壕掘りばかりの毎日だったが、連日の死傷者に、ついに満足に戦闘訓練も受けていない彼に戦闘参加の命が降り、恐怖と武者震いに軍靴の紐も結べなかったほどだ。  地響きは規則的に、そして着実に新兵に近づいてきている。 「な、」  なんだありゃあ……  新兵は口を開けたまま、それを凝視した。  大袈裟に云うなら一生忘れることのできない衝撃をその網膜に焼き付けた。  軍馬の駆け足ほどの速度で鉄の巨人が歩み寄ってくる。     
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