第一章『戦場の少女』 

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 当然三機とも機械であるから頭部に目鼻はないが、縦横に走る幾つかの開口部がなんとなしに目や口に見えてくるから不思議なものだ。  ほむらは享楽的な笑顔に、はがねは苦悶に耐えている顔に、にちりんは穏やかな微笑みに。  にちりんが静かに前に出た。  歩みつつ、女性の胸のように張り出た胸部が四方に開いていく。  在り得ないほどの光が戦場を包み込んだ。  少年兵は光の圧に思わず気を失いそうになった。  まさに日輪、その姿はご来光のようだった。  光が去ると戦局は一変していた。  敵軍の基地はおろか、  帝國軍特殊揚陸艦内。  左頬に耳まで裂けた傷跡のある佐官が、艦内で窮屈そうに膝を曲げて制止しているにちりんに向け声を放った。 「大戦果を挙げたな、褒賞が期待できるぞ」  にちりんの腹部が開いた。  そこから飛び降りてきたのは歴戦の強者ではなく、血気盛んな若い兵士でもなく、そもそも男ですらなかった。  にちりんの足元に降り立ったのは、まだあどけなさの残る少女だった。  少女は汗の輝く麗しい黒髪をはねあげると、編上靴の紐を解き脱ぎすてた。剥き出しの二の腕に機械油が線を引いている。 「ほむらの娘とはがねの娘は?」 「ふたりとも無事に帰投している。今は散湯浴室ではないかな」 「ボクも行こっと。もうこの中暑くって」     
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