第二章『超兵器』

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第二章『超兵器』

 将来カズヲちゃんに良い人が出来なかったら、お姉ちゃんをお嫁さんにしてね。  品番廿。  その姿はその日、医療棟にある精神科医の診察室にあった。  髪なく、目は殆ど見えず、歯もない。満足に歩けない。  人としての幸せなど欠片も感じぬまま、ただ生かされている。  生きている、心はある。心は部品の入れ替えで直せない。だから彼女らは精神科医の診察を受ける。  診察室の磨り硝子を廊下から見つめる少年がいた。  名をカズヲ。少女と同じ日出帝國陸軍に所属している新兵だ。  カズヲは少女が気になっていた。  故郷に置いてきた初戀を思い出す。  それに気づいた当時、カズヲは頑丈な身体を活かして軍人になろうと決意した。早く一人前になって、いい医者に診せねばならない。  そんな決意の年の暮れ、カズヲの初恋相手は死んだ。労咳だった。思いは残り、カズヲは軍人になった。ほどなく訓練中にふと見上げた医療棟の窓からこちらを見つめる影と目が合った。  それほど似ていない。髪も眉毛もない顔などどれも同じに見える。強いて面影を引いているのは、目だろうか。色素の薄い大きな瞳は確かに故郷に置いてきた想いに似ていた。     
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