大人になっちまった俺たちは

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大人になっちまった俺たちは

 春の陽が、またおれを通り過ぎていく。夕日に背を向けて歩く草臥れた靴音は、びっくりするほど乾いて響いた。  日曜日。世間様はお休みの日。駅から部屋までの帰り道にある公園はにぎやかだ。いつも通り何も考えず通り過ぎようとすると、たどたどしい乱暴さで少年が叫んだ。 「あした、学校終わったら、ぜってー集合な!」 横目で見ると、少年たちは揃って同じ形のゲーム機を持っている。なんのソフトで遊んでいたのか、確かではないが、たぶんあれだろうと思った。自信はある。人気シリーズの新タイトルが、金曜日に発売されたばかりだった。     
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